雑雑読書日記

六十一歳戌年、日々是休日 adobeイラストレーターを独学中。昭和、読書、音楽、映画の他爬虫類の飼育、散歩と下手な写真が趣味。独学記と身近な出来事。

投票する男

選挙に行きましたか?行ったことありますか?といえば大体の方が行ったことがあると

思います。私は若いときはひねくれていかないことが多かったです。今は政治に対して

不満を言う前に選挙だけは行っておかないといけないので行きます。

 

選挙の投票で悩んだことがありませんか?投票所でさあ誰に入れようか、どの党に

しようか迷ったことが私の場合多々あります。その時どうしますか?

適当に書きますか?私は悩んでしばし考えたことがあります。

投票用紙に書く時間に制限はあるのかと。

 

ある晴れたおだやかなある選挙日。

男は投票所に来た。手続きどおり投票用紙をもらうと投票用紙に記入する場所に

移動。男は書き出す。熱心に書く男。そして投票箱に入れようとする男、それを見守る

選挙管理委員。と、入れようとしたその時男はくるり

向きを変え再び記入場所へ移動。考えが変わったのだと見守る管理委員。

男は熱心にまた書き始める。この時点で5分経過。男は熱心に書き続ける。

一生懸命書いていた。ときにゆっくりときにすばやく。

この時点で10分。男はカバンの中から大きな漢和辞典を取り出した。

それを見守る管理委員にすこし動揺が見らた。それでも男は平然と辞典を

開き始めた。どうやら立候補者の名前を漢和時点で調べているようだ。

カバンから付箋を取り出して辞書に貼り付け始めた。それを眺めながらフッと息を吐き

ながら用紙に何かを書き始めた。この時点で20分が経過。

 

管理委員はこの男の行動に注目。やっと決まったと男は投票用紙を折りたたみ投票箱の

前に。入れたと思いきやくるりと振り返り記入場所に戻ろうとしたとき別の投票者がそ

れまで男の書いていた場所に向かいました。すると男はさきほどの記入場所のとなりへ

移動。この時点で40分

 

管理委員の顔色がすこし変わってきた。この先何が起きるのかが不安でたまらない、そ

んな感じだ。男はまたなにやら書き始めた。そしてカバンから取り出したのは姓名判断

と書かれた本。名前を占おうとしているのだろうか。

それからずいぶん時間が過ぎた。投票所に腕章をつけた2人の男が入ってきて腕組みを

しながら男を見つめている。この時点でもう90分。他の投票者はそんな

男とは知らずにどんどん投票を行っている。男は姓名判断の本をしまうとカバンを

ゴソゴソすると取り出したのはバンダナに包まれた四角い物体。管理委員は注目。

バンダナを開くと出てきたのはなんと弁当。弁当を開きカバンからペットボトルを

出すとペットボトルの蓋を開けるとそれを食べ始めた。この時点で120分。

ちょうど時計は12:00を示していた。

 

約1時間かけて男は昼食を済ませた。おもむろにカバンの中から爪楊枝の入れ物を

出しシーハーを始めた。午後1:00、投票所を見守る人が増えてきた。さすがの管理

委員も男におそるおそる声をかけました。「どこかお具合か不都合でも

あるのでしょうか?」管理委員の声はすこし震えているようだ。男と二言三言会話を

交わして管理委員は戻ってた。管理委員は投票者に投票を強制できない。

そんなことを男に言われたのかもしれない。午後2:00相変わらず男は立ったまま

記入場所の前でこんどは腕組みをして考えた。投票用紙の前でそろそろ4時間に

なろうとしている。窓の外はあいかわらず晴れておだやかな日差し。

 

午後3:00男はカバンから袋をガサガサと取り出した芋けんぴ

お茶を飲みながら美味しそうに食べ始めた。それから再び男はなにやら書き出した。

ずーっと男は記入台に向かったままそれから5:00となった。管理委員は絶望の表情

で男は見守っていた。そしてとうとう投票終了前の6:50分。男は振り向いた。

手には白い紙を持っている。やっとやっと記入。管理委員に安堵の表情が浮かび

ようやく長い長い選挙が終わろうとしている。男は投票用紙を持った手を投票箱に

入れようとしながらわざとらしく管理委員の目の前にちらつかせた。男が投票箱に入れ

たと思ったその時白い投票用紙が消えた。男は得意げに両手の裏表を見せニヤッと

笑いながら投票所を去っていった。男とその後の投票結果は定かではない。